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furaha

ハンドメイドのニット小物などを制作&販売しています。

10月の肉の日のこと

あの日、引き返して本当に良かった。

病院を出てバスに乗り、帰路に就いていた私は
帰り際に聞かれた父の一言が心に引っかかっていた。

「今日は泊まっていくんか?」

嘔吐と痛みで眠れない父は、その日の夜、
安定剤を処方する予定になっていた。

泊まっていくかと尋ねられたことなど、これまでになかったことだ。
このまま帰れば、一生後悔することになるかもしれない。

反対方向のバスに乗り換え、病院に引き返した私は、
その夜、父が眠るまで話し続けた。

気がかりなこと。
これまでの人生で一番楽しかったこと。
父が考えていたこと。
好きなこと。
母が父にだけ話していた、行ってみたい場所。それがまだ叶っていないこと。

その日以降、父は呼びかけに軽く答えたり
頷いたりはするものの、うとうとと眠り続け、
長く話をすることはできなくなった。

5日後、緊急入院から数えると僅か10日で、
父は旅立った。

救急搬送される前、最後に食べた物がお肉だったという程
肉好きだった父らしく、29日の旅立ちだ。

肉好きが肉の日に逝っちゃうとは、これ如何に。
絶対に命日を覚えておいてもらえるよ、お父さん。

まあ、いずれもれなくそっちに行くから。
それまで、しばしお別れ!


********************


29日のツィッターには、2007.6.17父の日に掲載した文章を
再掲しました。

2007.6.17
父の日に寄せて


『今日は天神にいます』
1~2ヶ月に一度、早朝に父から入るメールだ。

『7:20頃通ります。運転手さんの後ろの席に座ってます。』
すかさず私も返信する。

バスに乗って通る私の通勤路の途中には、父の勤務先がある。
1~2ヶ月に一度、父が早朝から勤務していることがあり、
その時にメールが届くのだ。

通り過ぎる一瞬の間に、お互いの姿を認め、私達は手を振り合う。

“今日は元気そうだな”
“白髪が増えたなぁ”
と私が感じるように、父も何かを思っているのかもしれない。

若い頃は、何も知らずにいたがゆえに、
父に対して不満を感じたりすることもあったけれど、
年を重ね、社会に出て、勤め人としての毎日を過ごしていると
私の知ることのない職場での父の姿や苦労が、多少なりとも
分かってきたような気がする。
それに伴い、話が合うことも多くなってきた。

数年前、ポツリと父が言った事がある。
「みんな大変。みんな頑張ってるんよ。」
それを聞いたとき、家では無口な父の、外での姿を
垣間見たような気がしたものだ。
それは恐らく、高校生の頃に聞いても、
何も感じない一言だっただろう。

大人になった今、私は、父が大好きです。
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